Lektion11 前置詞

今回は前置詞についてのお話です。

1.前置詞の格支配

英語でもおなじみの前置詞ですが、もちろんドイツ語にも存在します。
しかし、格支配のせいで、すこし英語よりも注意して扱わなければなりません。
「格支配」というのは、前置詞の後ろにくる名詞の格が前置詞によって決まってしまうことをいいます。

たとえば、英語のof を例にとります。
後ろに「私」を意味するI を持ってくると、of I ではなくof me と、目的格に変わってしまいます。
ドイツ語でも同様に、前置詞の後ろに来る名詞は2格、3格あるいは4格となるのです。

ではまず、2格支配(後ろの名詞が2格の形を取る)の前置詞を見ていきましょう。
 ・statt, anstatt~の代わりに
 ・trotz~にも関わらず
 ・während~の間に
 ・wegen~のために(原因)
例文も1つ

・Wegen des Regens komme ich später.(雨が降っているので、遅れていきます。)

Regen は男性名詞で「雨」。später は「あとで」という副詞です。
文頭から数えて2つ目の単語はdes ですが、
「Wegen des Regens 」はまとまって1つの意味を為すと考えますので、"動詞が2番目の法則"は崩れていないと考えます。

続いて3格支配の前置詞です。
 ・aus~から
 ・bei~のもとで
 ・mit~と一緒に)(英語のwith に近い)
 ・nach~の方へ、~の後で、~によると
 ・seit~以来)(英語のsince に近い)
 ・von~の、~から、~によって)(英語のto に近い)
 ・zu~へ
これも例文を。

・Mit ihm fahre ich nach München.(彼と一緒に、私はミュンヘンへ行きます。)

fahren は「(乗物に乗って)~へ行く」という動詞、ミュンヘンはドイツ第2の都市ですが、地名や人名には冠詞をつけることはありません。
もう1つ例文を。

・Er hat ein Auto aus Italien.(彼はイタリア製の車を持っている。)

Italien はイタリアです。
前置詞は副詞的に使うだけでなく、このように名詞を詳しく説明してやることもできます。
さらに1つ例文を。

・Eine Träne besteht aus 1% Wasser und 99% Gefühlen.(涙は1%の水と99%の感情から成り立っている。)

Träne は女性名詞で「涙」、Gefühl は中性名詞で「感情」です。
ここでは「bestehen aus ~」と、動詞とセットになって意味を形成しています。
このような使い方も前置詞の使い方の1つです。

そして4格支配の前置詞ですね。
 ・bis~まで
 ・durch~を通じて)(英語のthrough に近い)
 ・für~のために)(英語のfor に近い)
 ・gegen~に逆らって)(英語のagainst に近い)
 ・ohne~なしで)(英語のwithout に近い)
 ・um~の回りに
そして例文です。

 ・ Für das Abitur lerne ich fleißig.(アビトゥーアのために、必死に勉強します。)

fleißig は「熱心な」という形容詞です。
アビトゥーアは中性名詞です。
これはドイツの高校卒業試験で、これに合格すればドイツ国内のどの大学にでも入学できるというものです。
したがって、ドイツには大学の入学試験というものはありません。

最後に3・4格支配の前置詞です。
 ・an~で、へ(接触)
 ・auf~の上で、へ
 ・hinter~の後ろで、へ
 ・in~の中で、へ
 ・neben~の横で、へ
 ・über~の上方で、へ
 ・unter~の下で、へ
 ・vor~の前で、へ
 ・zwischen~の間で、へ
これらの前置詞は
位置を表すときは3格支配
方向を表すときは4格支配
となります

といっても、いまいち理解しにくいでしょうか。
例文を2つ作ってみましょう。

・Ich fahre in die Stadt.(私は町へ行きます。)

・In der Stadt kaufe ich eine Tasche.(私は町で買い物をします。)

Stadt は女性名詞で「街」です。
上の文では、私は町「へ」と、動作の方向を示しているので4格、
下の文では、私は町「で」という動作の行われる位置を示しているので3格が使われています。

最後にこの前置詞の意味について。
an は接触している状態を表しています。
「壁に絵がかかっている」とか、ピッタリくっついている状態です。
同じ「上」でもauf はピッタリくっついた上、über は空気を挟んだ(?)上です。
「机の上にお皿が1枚」ならauf 、「机の上に電灯がぶら下がっている」ならüber です。
zwischen は2つのものの間。英語で言うbetween です。

今回登場した前置詞は代表的なものだけですが、数年ドイツ語を勉強していればこれ以外の前置詞と出会うこともあるかもしれません。
前置詞はこれで全部ではないということを覚えておいて、新しい前置詞に出会ったらそれが何格支配なのかを注意してみてください。

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noch einen Schritt weiter ~もう一歩先へ~

ある特定の前置詞と、ある特定の定冠詞が連続して使われると、融合形となることがあります。
たとえば、
an dem = am
an das = ans
auf das = aufs
bei dem = beim
in dem = im
in das = ins
von dem = vom
zu dem = zum
zu der = zur
例を挙げると

・Ich gehe ins Kino.(私は映画館へ行きます。)

という具合です。
これらの融合形は無理に覚えなくとも、ドイツ語を勉強しているうちに自然と身に付くかと思います。

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