Lektion12 形容詞の格変化

今回はドイツ語学習2つ目の山場、形容詞の格変化です。

1.強変化(形容詞+名詞)

形容詞とは「美しい」とか「赤い」とか、名詞を修飾してやる品詞ですよね。
英語ではただ名詞の前に置けばよかった形容詞ですが、ドイツ語の場合すこし複雑な語尾変化を伴います。
それも、形容詞が単独で使われる場合、定冠詞とセットで使われる場合、不定冠詞とセットで使われる場合でそれぞれ違った変化をします。
まずは単独で使われる場合、どのように変化するのかみてみましょうか。
男性 女性 中性 複数
1格 -er -e -es -e
2格 -en -er -en -er
3格 -em -er -em -en
4格 -en -e -es -e
これはほとんど定冠詞の変化と同じです。
男性と中性の2格のみ違っています。
男性・中性の2格では名詞に-s 、複数3格では-n という語尾が付くのは変わらないので注意して下さい。
では、「良い」という意味のgut と男性名詞のWein (ワイン)を使って例文を1つ。

・Guter Wein ist nicht teuer.(良いワインというものは高価なものではない。)

ワインは不加算名詞ですので、不定冠詞は用いません。
ここでは1格で使われているので、男性名詞1格の語尾、-er が付けられています。
不加算名詞とは数えられない名詞です。ビンで何本とは数えられますが、ワインの液体自体は数えられないですよね。
ビンで数える場合は「○○(数字) Flasche(n) Wein 」と表現します。

2.弱変化(定冠詞+形容詞+名詞)

次は定冠詞を伴って使われる場合です。
語尾が2種類しかないので、弱い変化=弱変化と呼ばれています。
男性 女性 中性 複数
1格 -e -e -e -en
2格 -en -en -en -en
3格 -en -en -en -en
4格 -en -e -e -en
これも例文を見ておきましょう。

・Drücken Sie bitte den großen Knopf.(その大きなボタンを押してください。)

drücken は他動詞で「~を押す」、groß は「大きい」、Knopf は男性名詞で「ボタン」です。
drücken の4格目的語となっているので男性名詞4格の語尾-en を付けられています。

3.混合変化(不定冠詞+形容詞+名詞)

最後に混合変化です。
不定冠詞を伴って使われる場合ですね。
まずは表を見てみましょう。
男性 女性 中性 複数
1格 -er -e -es -en
2格 -en -en -en -en
3格 -en -en -en -en
4格 -en -e -es -en
基本は弱変化なのですが、男性1格と中性の1・4格のみ強変化と、2つの変化が混ざっているので混合変化と呼ばれています。
これも例文をみてみましょう。

・Ich wünsche dir einen guten Tag.(私は君によい1日を望みます。)

wünschen は他動詞で「~を望む」、Tag は男性名詞の「日」です。
実は、この文の最後の2語以外を省略しているのがドイツ語のあいさつ、「Guten Tag!」なんですね。

それから、複数形には不定冠詞がつくことはありませんので、混合変化が存在することに疑問を持つかもしれません。
確かに複数形に不定冠詞がつくことはありませんが、不定冠詞類を付けることはあります。
不定冠詞類とは、Lektion8 で学習したように、所有代名詞と否定のkein のことでしたよね?
例文を作ると、こうなります。

・Ich esse mittags mit meinen geschätzten Freunden.(私は昼に大切な友人たちと食事をする。)

mittags は「昼に」、geschätzt は「大切な」です。
ここでは所有代名詞のmein が3格支配の前置詞mit と結びついて3格になっていますね。
そしてその後にgeschätzt の複数3格geschätzten 、Freundの複数3格の形Freundenが続いています。

4.名詞を修飾する以外の用法

形容詞は名詞の前について名詞を修飾する以外にも、

・Dieses Auto ist sehr gut.(この車はとても良い。)

と述語的に用いたり、

・Dieses Auto fährt schnell.(この車は早く走る。)

というように副詞的に用いたりすることもできます。
この場合、複雑な語尾の変化は必要ありません。

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noch einen Schritt weiter ~もう一歩先へ~

「ドイツ人の男」というのはドイツ語で、
deutscher Mann と表現しますね。
同様に、「ドイツ人の女性」なら
deutsche Frau といいます。
形容詞の後に続く語が、Frau かMann 、の場合、このFrau やMann を省略することができます。
その場合、形容詞のはじめの文字が大文字となって、
Deutscher やDeutsche のように変化します。
定冠詞を付けても同様で、「そのドイツ人」ならder Deutsche やdie Deutsche となります。
形容詞が中性名詞として名詞化した場合、「~のもの」や「~のこと」といった意味になります。
たとえば、klein を名詞化するとKleines (小さいこと、もの)となります。

「ドイツ人」を表すDeutsche は形容詞が名詞化した形ですが、
「日本人」を表すJapaner/ Japanerin はもともと名詞の形です。
しかし、このように男女で形が違う(-in という語尾で違いを表す)のは男女不平等だという動きがあり、
Japaner やJapanerin を形容詞の名詞化を用いてJapanische と言い表す方もいるようです。

形容詞の話をしたので、序数についても触れておきます。
1番目の、とか2番目のとか言うときの言い方です。
英語でいうfirst, second に当たります。
1の序数はerst 、2はzweit 、3はdritt です。 4~19を序数にするには、語尾に-tを付ければOKです。
6ならsechst 、17ならsiebzehnt ですね。
20~は語尾に-st を付けます。
20ならzwanzigst 、49ならneunundvierzigst です。
100も-st なのですが、1XX のXX の部分が19以下なら、語尾は再び-t に戻ります。
101ならhunderterst 、112ならhundertzwölft です。
その後120からは、また-st となります。

序数は名詞を修飾する場合、形容詞となって、格変化します。
上の表に載っている通りの格変化です。
「1番目の列車」ならerster Zug といった具合です。

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