Lektion16 完了形

今回は完了形についてですね。
前回もお話したとおり、ドイツ語の時制は英語ほど複雑ではありません。
英語では、過去形を使うか完了形を使うかで間違えた人も多いと思いますが、
ドイツ語では過去のことを表すなら完了形を用います。
前回学習した過去形は、物語的な場面(昔話や小説など)でのみ使われ、日常会話では専ら完了形を使います。
ただし、sein, haben, werden, 話法の助動詞だけは、日常会話でも過去形を使うことが圧倒的に多くなります。
助動詞については別の単元でお話しましょう。

1.完了形の作り方

完了形は、
完了の助動詞(haben / sein ) + 過去分詞で作ります。
英語と違い、haben だけが完了の助動詞でないことに注意してください。
すべての他動詞とほとんどの自動詞はhaben 、
場所の移動、状態の変化を表す自動詞はsein を用います。
例外として、sein, bleiben(とどまる), begegnen(~3に出会う)の3つの動詞はsein を用います。
また、「始める(an|fangen など)」か「終わる(beenden など)」という意味を持つ動詞は、状態の変化ではありますがhaben を用います。

例文を見てみましょうか。
まずはhaben を使った例。

・Ich habe ein Brot gegessen.(私はパンを1つ食べました。)

・Mit ihr hat Hans getanzt.(ハンスは彼女と踊りました。)

・Ich habe das Fenster aufgemacht.(私は窓を開けました。)

1つ目の文のgegessen はessen(食べる)の過去分詞、
3つ目の文のFenster は中性名詞で「窓」、auf|machen は「~を開ける」という意味です。
完了の助動詞は主語に合わせて人称変化します。
次に、sein を使った例。

・Ich bin gestern nach München gefahren.(私は昨日ミュンヘンへ行きました。)

・Bismarck ist 1898 gestorben.(ビスマルクは1898年に亡くなりました。)

・Sind Sie dort Hanna begegnet?(あなたはそこでハンナに出会ったのですか。)

gefahren はfahren の過去分詞。場所の移動なのでsein を使っています。
英語では禁じ手だった完了形と「昨日(gestern )」の両立も、ドイツ語では問題なく行えます。
gestorben はsterben(死ぬ)の過去分詞。状態の変化なので同様にsein を使います。
疑問文にするときは、定動詞の位置にある、完了の助動詞を文頭に持ってきます。begegnen は例外的にsein を用いるのでしたね。

完了の助動詞にhaben を用いる動詞をhaben 支配の動詞、
sein を用いるものをsein 支配の動詞といいます。

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noch einen Schritt weiter ~もう一歩先へ~

さらに複雑な文を作ってみましょう。
前回学習した未来形と、今回勉強した完了形の複合技、未来完了形です。
未来完了形は「~したのだろう、~だったのだろう」という、過去に対する推測を表現します。

・Er ist zu Hause gewesen.(彼は家にいた。)

上の文は普通の完了形です。
zu Hause は「家に, で」という意味の熟語です。
zu は3格支配の前置詞でHaus は中性名詞の「家」ですよね。
最後の"e" はなんでしょうか。
実はこれ、昔3格の男性・中性名詞に"e" という語尾をつけていた時代のなごりです。
現在では男性・中性名詞の2格に"s" を付けますよね。これと似たような現象が昔は3格でも起こっていたのです。
この名残はほかにnach Hause (家へ)という熟語などにも見ることができます。

話が逸れてしまいました。
では、上の完了形の例文に未来形の要素を加え、未来完了形を作ってやりましょう。
未来形の作り方はwerden + 不定詞でしたね。

・Er wird zu Hause gewesen sein.(彼は家にいたのだろう。)

定動詞の位置に未来形の助動詞werden の主語に合わせた形、wird を持ってきてやります。
すると、すでにその位置にあったist は、文末へ移動し、「werden + 不定詞」の「不定詞」の部分に変化しました。
これで未来完了形の完成です。

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