Lektion2 母音の発音


さて、ここと次の単元ではドイツ語の発音の話をしていきます。
ドイツ語の発音についてはよく、基本的にはローマ字読みでOKと言われています。
これには賛否両論あるようですが、ここは初心者用の講座ですので、基本的にローマ字読みでOKと覚えておいて構いません。
たとえば、「谷」という意味のTalですが、発音もそのまま「タール」です。
そしてもう1つの大原則は、基本的に第一音節にアクセントを置くということです。
一番最初の母音を強く読むということです。(例外はありますが、後ほど別の単元で解説します。)
なので、「タール」の場合は「タ」にアクセントが置かれます。
ドイツ語の場合、カタカナをそのまま読んでもドイツ人には通じる場合が多いので、英語よりも発音は易しいと言えるかも知れませんね。

しかし、単語を読むうえでいくつか注意しなければならない規則も存在します。
それほど多くはないので、安心してください。

1.長く読むか短く読むか

はじめに母音を長く読むか、短く読むかの区別です。
このルールは単純で、母音の後ろに子音が1つのときは長く読み、2つ以上続いているときには短く読みます。
例をあげて見ていきましょうか。

 Tal〔タール〕谷        Mann〔マン〕男
 Leben〔レーベン〕生命     Heft〔ヘフト〕ノート
 Titel〔ティーテル〕タイトル  Tinte〔ティンテ〕インク
 Hof〔ホーフ〕庭        Gott〔ゴット〕神
 Blume〔ブルーメ〕花      Bus〔ブス〕バス
 Bär〔ベーァ〕クマ       Kälte〔ケルテ〕寒さ
 Öl〔エール〕油         Löffel〔レッフェル〕スプーン
 Hügel〔ヒューゲル〕丘     Hütte〔ヒュッテ〕小屋

どうでしょうか。
ウムラウトの発音は、はじめのうちは難しいかもしれませんね。
Tal のときにはa の後ろに子音が1つ(l のことです)しかないので「タ」ではなく「ター」と伸ばす。
Mann のときにはa の後ろに子音が2つ(n が2つあります)なので「マー」ではなく「マ」と短い発音になります。

さて、母音の後ろに子音が1つなら短い音と説明しましたが、1つだけ例外があります。
それが母音の後ろにh が続いた場合。
この場合は母音は短く読まず、長く読みます。
そして、その場合はh の音は読みません。
ドイツ語の中で書かれていても発音しない文字は、このときのh だけで、あとはすべて発音されます。
英語には書かれていても読まない文字がたくさんありますので(right のgh は読みませんよね)、
この点でもドイツ語は簡単ですね。
それでは、例を見ていきましょうか。

 Bahn〔バーン〕鉄道
 Uhr〔ウーァ〕時計
 Bühne〔ビューネ〕舞台

みなさん読めましたか?
h の前の母音は伸ばして読むこと。
くれぐれもBahn を「バハン」なんて読まないでくださいね。

2.母音が2つで二重母音

次に二重母音の説明です。
「二重母音ってなに?はじめて聞くよ~><;」という方もいらっしゃるでしょうから、説明しておくと、
「母音」が「二」つ「重」なっているから二重母音です。
正直、ここまでの母音の基礎は知らなくてもなんとなく読めたりするのですが、二重母音はそうはいきません。
それほど数は多くないので、ぜひとも覚えてください。

その1. aa=〔アー〕, ee=〔エー〕, oo=〔オー〕
 これは想像がつきやすいでしょう。a,e,o が2度続くと長母音化します。

 ・Haar〔ハール〕髪  Tee〔テー〕紅茶  Boot〔ボート〕ボート

その2. ie=〔イー〕
 これも想像がつきやすいかな?i の長音と同じで、唇を強く引っ張る「イー」です。

 ・Brief〔ブリーフ〕手紙  Liebe〔リーベ〕愛

その3. ai, ei=〔アイ〕
 ここから少し覚えづらくなります。特にei を「エイ」と読んでしまわないように気を付けてください。

 ・Mai〔マイ〕5月  Eis〔アイス〕氷

その4. au=〔アォ〕
 au は「アウ」ではなく「アォ」と発音してください。
 はっきりと「アオ」と言わずに、「アオ」と「アウ」の中間くらいを意識するのがポイント。

 ・Baum〔バォム〕木  Haus〔ハォス〕家

その5. eu, äu=〔オイ〕
 最後の難関、「オイ」です。
 「エ」と読む発音(e もä も「エ」と読みましたね)とu が重なると「エウ」と読みたくなるところですが、
 「エウ」は「オイ」に変わってしまうと覚えましょう。

 ・Europa〔オイローパ〕ヨーロッパ  Gebäude〔ゲボイデ〕建物

今回例に使った単語はすべて名詞ですが、勘のいい方は気づいたでしょうか?
そう。ドイツ語の名詞は大文字ではじまるんです。
英語だと、大文字からはじまるのは、Japan のような固有名詞と、文の初めにある単語だけですよね?
ドイツ語の場合、普通名詞だろうと、固有名詞だろうと、文の途中にあろうと、名詞は全部大文字で書き始めます。
覚えておいてくださいね。

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noch einen Schritt weiter ~もう一歩先へ~

さて、今回は母音の発音の話をしてきましたが、実はドイツ語の母音、もう1種類あるんです
それがここで取り上げるy です。
このy 、ドイツ語ではあまり出会う機会はありません。
ドイツのキーボードではみなさんのキーボードのy のある位置にz があり、
z のある位置にy が置かれているのです。
キーボードの隅っこに追いやられるほど、y の登場頻度は低いわけです。
なぜかというと、外来語にしか使われていないからです。
では、母音のy はどのように発音するのでしょうか?
答えは簡単。üと全く同じでいいんです。
ü の発音は日本語の「ウ」より口をすぼめて「イ」の音でしたね。
では、例を見てみますと

 ・Typ〔テュープ〕タイプ  Hysterie〔ヒュステリー〕ヒステリー

ね。ü と全く同じでしょ?
後ろに子音が1つなら長く、2つ以上なら短く読むのも同じなんです。

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