Lektion5 動詞の現在人称変化

人称代名詞は頭に入りましたか?今回はさっそく人称代名詞を使って、動詞を人称変化させていきます。
【1.「動詞の現在人称変化」と「不定詞」】では用語を難しい言葉を使って解説しているだけなので、
読み飛ばしてくださって結構です。

1.「動詞の現在人称変化」と「不定詞」

「動詞の現在人称変化」ってなんだか長ったらしくてわかりにくい言い方ですね。
これから何を勉強していくのか簡単に解説します。
まず、「動詞」の現在人称変化ですから、当然問題は動詞にあるわけです。
次に「現在」人称変化なので、現在形の場合のみを対象とします。
ドイツ語にも英語と同様、過去形・完了形などいろいろな時制があるわけですが、
ここではあまり「現在」というのは気にしないでいいでしょう。
最後に人称変化ですが、「人称」によって動詞が「変化」するということです。
人称とは前回、1人称単数や3人称複数など、表に載っていた各項目のことです。

つまり動詞の現在人称変化とは、英語でいう三単現(「三」人称・「単」数・「現」在でしたよね)の-s のことです。
英語では三単現の場合のみ注意すればよかったのですが、ドイツ語では一単現や二複現でそれぞれ動詞が変化しちゃうんですね。

なんか難しそう?いえいえ。大丈夫。慣れればすぐに使いこなせますし、こんなもの間違えたってドイツ人はちゃんと理解してくれます。
ところで、動詞には「不定詞」という形があります。
英語でto 不定詞なんて言葉聞いたことありますよね。
あの不定詞です。
では、その不定詞とはなんのことでしょう?
答えは形が「定」まってない(「不」) 動「詞」のことです。
・・・難しい言い方をしましたが、つまり動詞の原形のことです。
英語を例にとって見ると、come は動詞の原形(不定詞)ですよね。
これが3人称単数だったらcomes になったり、
1人称単数ならcome のままだったり、
過去形だったらcame になったり、
人称や時制によってはじめて形が定まるわけです。
ちなみにこの形が定まった動詞のことを定動詞といいます。
ですから、まだ形が定まってない動詞の原形を不定詞と呼ぶんですね。
わかりにくければ、辞書に載ってる形と覚えておいてください。(辞書にはcomes なんて載っていませんよね)

2.ドイツ語の動詞について

さて、ドイツ語の動詞はほとんど全て-en で終わるという特徴があります。
いくつか例を挙げてみましょうか。
lernen 勉強する
kommen 来る
gehen 行く
essen 食べる
どうです?すべて-en で終わってるでしょ?
読み方はもう読めるようになりましたか?
それぞれ、レァネン(レルネン)、コメン、ゲーェン、エッセン、ですね。

ここで例に挙げた4つの単語はすべて不定詞(動詞の原形)なのですが、
これが人称変化して形が定まると定動詞と呼ばれるものになります。
定動詞を作るにあたって、まずは不定詞の語幹を取り出さなければいけません。
え?また知らない言葉が出てきた?大丈夫。簡単です。
語幹とは、動詞から-en を取り除いたもののことです。
lernen なら語幹は「lern 」の部分、kommen なら「komm 」の部分が語幹となります。
この語幹に、それぞれの人称語尾を付けていくわけですね。

3.いよいよ本題!人称変化!

では、人称によって動詞の語尾がどう変わってくるのか、表にして見てみましょう。

単数 複数
1人称 ich -e wir -en
2人称 du -st ihr -t
3人称 er(sie, es) -t sie -en

と、このようになります。
さきほど例に挙げたlernen を使って実際に文を作ってみましょうか。
ドイツ語の場合、基本的に英語と同様、SVO (主語・動詞・目的語)の語順をとります。
それから、ドイツ語で「ドイツ語」はDeutsch といいます。
発音はもう大丈夫でしょうか。わからなければLektion3で復習してください。

・Ich lerne Deutsch.(私はドイツ語を勉強する。)
・Du lernst Deutsch.(君はドイツ語を勉強する。)
・Er lernt Deutsch.(彼はドイツ語を勉強する。)
・Wir lernen Deutsch.(私たちはドイツ語を勉強する。)
・Ihr lernt Deutsch.(君たちはドイツ語を勉強する。)
・Sie lernen Deutsch.(彼らはドイツ語を勉強する。)

語幹のlern にそれぞれの語尾をつけ、このようになるわけですね。

主語がHans (ハンス)やHanna (ハンナ)の場合はどうでしょうか?
この場合、Hans やHanna は、「私」でも「君」でもないので3人称単数となります。
したがって、ハンスなどの人名や、机やイスが主語の場合でも、単数ならer の場合と同じく

・Hans lernt Deutsch(ハンスはドイツ語を勉強する。)

となります。

敬称2人称Sie についてですが、3人称複数のsie と同じになります。
ですので、

・Sie lernen Deutsch.

には、「彼らはドイツ語を勉強する。」と「あなたはドイツ語を勉強する。」、「あたなたちはドイツ語を勉強する。」
の3つの意味があるわけですね。
どの意味になるかは文脈で判断することになりますが、迷うことはまずないでしょう。

これからドイツ語を勉強するにあたってこの人称・数の表は何度も出てきますが、
敬称2人称のSie はすべて3人称複数のsie と同様の変化をします。
よって、敬称2人称は今後の表では省略していきます。

長くなってしまいましたが、ここで覚えてもらいたいことは、表の中の8つの語尾だけです。
それぞれの語尾e, -st, -t, -en, -t, -en をつなげて読んだ、
esttenten (えすとてんてん)という覚え方が有名です。

4.動詞の順番と否定文

動詞の話をしたので、これにかかわる話をしておきます。
ドイツ語の文を組み立てる上で、最も重要な原則が定動詞が2番目にくるという法則なんです。
たとえば、さきほどの例

・Ich lerne Deutsch.(私はドイツ語学勉強する。)

この文を見てみると、lerne という定動詞は2番目にきています。
これは英語に馴染みがあれば違和感のない文でしょうが、この文、

・Deutsch lerne ich.(ドイツ語を、私は勉強する。)

と、Deutsch とich の順番を入れ替えても成立するんです。
動詞が2番目にさえきていれば、主語や目的語は順番を入れ替えても大丈夫なのです。
とはいえ、普通はやはり主語、動詞、目的語という順番が好まれるようですけどね。

次に否定文の作り方です
否定文を作るときには、nicht を使います。
英語で言うnot です。これを使うと、

・Ich lerne Deutsch nicht.(私はドイツ語学勉強しない。)

と、否定文を作ることができます。

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今出てきたばかりの否定文について、
実はこのnicht 、使い方が難しく、位置によって文の意味が変わってくるのです。
とはいえ、基本的に「語の前に置いた場合はその語を否定し、文末に置けば文全体を否定する
と覚えておけばOK です。

・Ich lerne nicht Deutsch.(私はドイツ語は勉強しない。)(=他の勉強はする)

・Ich lerne Deutsch nicht.(私はドイツ語を勉強しない。)(他の勉強をするかどうかはこの文からは判断できない)

部分否定とか全否定とか、英語で習ったあれです。

つぎに動詞の語尾の例外の話をしましょう。
表を使って覚えると楽な人称変化ですが、例外や不規則に変化するものもあります。
不規則変化動詞は次項で扱うので、ここでは例外についての話をしておきましょう。

まず、語幹が-d か-t に終わる動詞です。
この場合、du の人称語尾は-st でなく-est になり、
er (er だけでなく三人称単数は全て)とihr の人称語尾は-et となります。
arbeiten (働く:語幹が-t に終わってますね)を例にすると

・Du arbeitest.
・Er arbeitet.

という具合です。arbeitst と言うよりe をつけてarbeitest と言った方が言いやすいですよね。

次に語幹が-s, -ß, -z, -x に終わる動詞です。
この場合du の人称語尾はs がとれた-t となります。
tanzen (踊る:語幹が-z に終わっています)の例文を1つ。

・Du tanzt.

これもtanzstなんて言いにくいですよね。すでにs の成分が含まれているのでわざわざ付けないわけです。

最後に、-ern, -eln に終わる動詞です。
ドイツ語の動詞はen で終わるものがほとんどですが、
まれにこの2つで終わる動詞も存在します。
これらの動詞の場合、語幹はen でなくn となります。
lächeln (笑う)という動詞の主語がdu の場合

・Du lächelst.

となります。
さて、ここで例外なのが主語がich の場合。
この場合、r かl の前のe を省略
します。(ただし、-ern に終わる動詞の場合は省略しないことも可能)
さきほどのlächelnだと、

・Ich lächle.

となるわけです。

これで、例外の話はおしまい。
お疲れ様でした。

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